嵯峨根鈴子「いれものがないたましひをつるしおく」(『ちはやぶるう』)・・
嵯峨根鈴子第四句集『ちはやぶるう』(青磁社)、著者「あとがき」に、
『ちはやぶるう』は『コント鳴く』『ファウルボール』『ラストシーン』に続く第四句集となります。(中略)
私的には母の死や、夫と私自身の度重なる病など現実を受け入れるまでにはかなりの時間を要しました。いざという時、なんの役にも立たない俳句はちょっと横に措いてというスタンスで生活をしているつもりでしたが、理不尽な現実に対する憤怒の矛先をどこへ向けるべきか分からぬまま、ハイクを書き付けておりました。(中略)ところが、句集のための選句をしていて、自句が今の私に寄り添い、私は私自身の俳句によって癒されていることに気づきました。
今思い返すと、私は作句することそのことによって充分に生かされていたのではないかと思えるのです。
とあった。集名に因む句は、
いてふちるちはやぶるうのやまひかな 鈴子
であろう。ともあれ、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておこう。
底紅にひとひの暮色はじまれり
戦争の現在形に石榴裂け
梅擬触れなばしづくすることば
白菜に花の記憶はないやうだ
次の手ではなく懐手
上流はしぐれてをらむしじみ汁
糸切歯あるてふ古き女雛かな
底なしに紙をかぶせて去年今年
触れると傷む桃と知りつつふれあひぬ
蝉時雨笑はぬ石を選ぶ仕事
嵯峨根鈴子(さがね・すずこ) 1949年、岡山県生まれ。
河口聖↑
★閑話休題・・河口聖・「第50回・美術の祭典 記念展/東京展」(於:東京都美術館・10月14日まで)&「田中一村展」(於:東京都美術館~12月1日まで)・・
「第50回・美術の祭典 記念展/東京展」(於:東京都美術館・10月14日までに)の「東京展EYESファイナル~」に選出され、出品している河口聖の大作5点(Blue Moon)があるというので観に行った。せっかくだから、隣で開催している「田中一村展」も観て来た。
撮影・芽夢野うのき「野の風に野の花野川秋の風」↑


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