小山森生「薇(ぜんまい)の腰まで長けて花掲ぐ」(「努(ゆめ)」第180号)・・
「努(ゆめ)」第180号(努の会)、連載エッセイ「俳句の森へ 47」は「良識と作家精神ー森澄雄の「中庸」思想を巡って他ー」。その結び部分に、
(前略)関さんに最後にお会いしたのは、現代俳句協会青年部の「読まれなかった俳句」というシンポジウムだったと思う。
人類に空爆のある雑煮かな 関 悦史
この句が句集『六十億本の回転する曲がった棒』の中からレジュメに取り上げられていた。六十億人の人類が、それぞれ曲がった棒で、独楽のように激しく回転していたとしたらぶつかり合わない筈がない。だから句集の代表句と言える。
独楽澄むや『現実界』のほかに俳句なし
前句が表なら、この句は裏。独楽が澄んで見えるのは軸が真直ぐで高速回転するから。そして『現実界』とはジャック・ラカンの用語で、ことば以前の世界というか、言表の不可能な世界。我々が言葉を交わしているのは『象徴界』である。もしかしたら、こちの独楽は地球なのかも知れないが、言表の不可能性の自覚の、その先にしか俳句がないとは、凄い句である。
とあった。ともあれ、本誌本号より、いくつかの句を挙げておきたい。
大井恒行句集「水月伝」
花は葉に碑林の如き悼句群 小山森生
涅槃図にほほゑむやうな駱駝の目 小松祥子
春は名のみ延長コード使はんか 恩田布木
寒林や伽藍の奥に日矢射して 田中 稔
参観の日や教室のヒヤシンス 木下悦子
春風や日向にならぶ児の枕 木全富子
木瓜ひらく一休さんの庭箒 岡本冬子
曾孫のそれも七人雛祭 大西佐代子
行く春や浮くもの遠き湖の水 髙木美子
春昼や仔犬に「お手」をせがむ子等 大角泰子
石段の上の青空囀れり 谷口頼子
包丁を研ぐ鉄の匂ひや春の宵 大洲素一
大仏の迎えへる右手暖かし 中井久男
星おぼろ最終バスの発ちし村 井上楷子
省二の句碑虚空の黙に冬日燦 藤ノ井邦光
撮影・芽夢野うのき「換骨奪胎ノカンゾウの枯れも」↑

コメント
コメントを投稿