檜山哲彦「ひなへなと羅漢笑へり心太」(「りいの」7月・最終号より)・・


 「りいの」7月号(第175号)・檜山哲彦追悼 最終号(りいの俳句会)、表2に献辞と「『りいの』の由来」が記されている。それには、


 音声(おんじょう)に驚かない獅子のように/網にとらえられない風のように

 水に汚されない蓮のように/犀の角のようにただ独り歩め

   『スッタ二バータ(仏陀のことば)』「蛇の章・犀の角」より

                     (中村元訳 岩波文庫)


 「りいの」の由来/「りいの」という誌名は、「犀」を意味するギリシャ語・ラテン語の「リィノケロス」に由来します。


 とある。特集「檜山哲彦―—人と作品」の巻頭は、「壺中天風 番外編」に檜山哲彦「喪の言葉」、山崎祐子選「檜山哲彦百句」など。追悼文に、伊藤伊那男「檜山さんの電話が…」、井上弘美「希有な詩魂」、木暮陶句郎「檜山哲彦さん追悼」、小島健「詩人・哲彦さんに献杯」、蟇目良雨「言葉と愛の狩人」、藤田直子「『天』まで視野を広げて」、山田真砂年「犀の角のように」、赤司英一郎「西行の『苔の下水』」、鍛冶哲郎「檜山さんの思い出」、松浦純「追想 檜山哲彦」、土合文夫「檜山哲彦君との五十年」、水上藤悦「檜山君の思い出」、土田英三郎「ことばをたいせついにしようよ」、大森晋輔「『手触り』のある言葉―—檜山哲彦先生のこと」、杉本和寛「燗酒の向こうに」、西岡龍彦「未完のオペラ」、大久保篤「師というよりはアニキでした」、室田尚子「『言葉』への飽くなき拘泥」、吉田純子「人生を味わう奥義、知り尽くす賢人」、星野宏美「思い出すままに」、木村佐千子「広島県人会のことなど」、山村浩「アカンサンサス句会のころ」、満留伸一郎「詩と散文」、朝山奈津子「『べえんぺんてるげふぇるつぇるみす』から『感謝しています』へ」、土田牧子「ドイツ語と虫と蕎麦と酒」、前島美保「優しいまなざし」。その他、同人・会員の方々の追悼エッセイがあり、「檜山哲彦第三句集『光響」に寄せて」の特別寄稿に、佐怒賀正美「複合的感覚など」、そして、『光響』の一句鑑賞」、各人の「『光響』五句選」「各人一句」などが掲載されている。

 夫人の檜山良子(ひやま・りょうこ)の便りには、


(前略)今後については、檜山哲彦の著作を管理する法人を立ち上げ、専門家のご助力を得ながら、文学の振興と文化の発展に少しでも貢献できますよう取り組んで参ります。法人名は「一般社団法人檜山哲彦文学館」(中略)といたしました。(中略)

 来年は『檜山哲彦拾遺全句集』(仮題)、『ドイツ歌曲対訳集』(仮題)の発刊を予定しております。


 とあった。ともあれ、本誌中より、いくつかの句を挙げておこう。


     生野幸吉遺詩集『大きな穽』を編む

  天狼や遺稿にひとつ知らぬ文字       哲彦  

  小鳥来る天のふろしき大きかり   

  水といふ水ささめくや広島忌

  白桃の余熱しばらく口の中

  涼しさを言ふにさまざま声の色

  初蝶の開けゆく風の隙間かな

  白鳥を乗せ湖は一枚に  

  竜のぼり九天四方澄みわたる

  風丸く寄せ柊の花明り 

  天の糸切れきりもなく木の葉


 檜山哲彦(ひやま・てつひこ) 1952年~2023年12月30日、享年71.



     撮影・鈴木純一「ずっと待ってた ときどきないた」↑

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