藤原暢子「その人の息のもう無い夏の山」(『息の』)・・
藤原暢子第二句集『息の』(文學の森)、著者「あとがき」の中に、
(前略) コスモスを揺らせる息のいつか風
この句は、暗峠を下る道の途中で詠んだものである。私には、やはり旅が必要だと、気づかされてくれた道のりだった。
そんな旅をした二〇二〇年から、二〇二三年までの句の中から、第二句集の句を選んだ。そして、この句から句集のタイトルをとることにした。
また、「小さなマリア」は、ポルトガルの章である。留学を終えた後も、大切な友人達に会いに、ほぼ毎年通い続けている。いつも訪れるのは、かつて暮らした首都、潮の香る河口の街リスボン。そして、冬至の祭礼の撮影を続けている、北東山間部の村々である。友人達の家や、村の祭の中で過ごす日々は、私の生活と旅には欠かせない一部となっている。この国での暮らしや暦も、ゆっくりと受けとめながら、今後も詠んでいきたい。
とあった。ともあれ、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておきたい。
じやがいもの花より雲の生まれけり 暢子
電話より約束漏るる半夏生
波に濡らして夏服は完成す
見てからはずつと蛍火だと分かる
入口をハローと読んで秋の風
初日浴ぶ飛び石はみな違ふ顔
うららかや町の名のつくカレーパン
昼寝して海の重さの頭かな
酒酌みて月のまんまる三朗忌
泳ぎ来て水の重さを連れ帰る
牛と目の合ふそのほかは枯れてゐて
いきものと思ふ焚火のくづれをり
人の国つないでゆける燕かな
藤原暢子(ふじわら・ようこ) 1978年、鳥取県生まれ、岡山県育ち。
★閑話休題・・府中市シルバー人材センター「第8回 ふれあい作品展」(於:府中市美術館市民ギャラリー)・・
3月17日(日)の昨日まで、三日間、府中市美術館市民ギャラリーに於いて、府中市シルバー人材センターの第8回「ふれあい作品展」で、絵画、書道、工芸、写真、俳句、短歌などの展示が行われ、われらの「きすげ句会」のメンバーも参加した。以下に、「きすげ」句会関係の作品などを挙げておこう。
だいじょうぶ大丈夫よと梅の花 寺地千穂
冬空に両手拡げるけやきかな 清水正之
傘寿になり振り返らずに冬日和 井上芳子
この大地載せて浮遊す地球の春 濱 筆治
春よ踊れ墨たっぷりの筆走る 久保田和代
静脈の海すきとほるけさの秋 山川桂子
白粥の梅干し見つめ湧く力 杦森松一
この国をめぐる花あり尽きたる山河 大井恒行
撮影・鈴木純一「アキレスが亀に追い付く遅日かな」↑

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