永田耕衣「抱きこめば女体虚空の匂いのみ」(「UNPLUGGED 風餐」11号より)・・
「UNPLUGGED 風餐」11号(風餐編集部・発行人 府川雅明、発売・夜窓社)、インタビュー記事に、「詩人 井川博年に聞く〈日本近代以降の詩文学を概観する〉」があり、聞き手は、府川雅明と三宅政吉。その中に、
府川 明治からの一世紀半の格闘の中でコアとなる現代的課題は何ですか。
井川 さっきの日本語の主語の曖昧さと、モダニズムの葛藤。これをどうやって結合させるかが現代詩の問題としてある。文学のモダニズムは口語ですからね。
そのモダニズムと短歌は相性が良い。啄木の歌は口語でしょう。だから俵万智の『サラダ記念日』のような口語短歌が出ても不思議ではない。しかし残念だが、悲歌しか歌えない。短い歌は感情を表すことはできるけど、歌謡曲になる。日本語は音が貧弱で単調。最後にはお経のようになってしまう。だから海外では逆にエキゾティックに聞こえます。
府川 日本語の音声の貧弱さを補おうと、北川冬彦、北園克衛らのモダニストは視覚イメージに特化しようとしたわけですね。
井川 それも結局、小林秀雄のいう「新しい意匠」というわけです。
その他、府川雅明によるインタビュー記事の目次を挙げると、
上田悟司「今なぜ複雑系経済学なのか」、セバスチャン・トゥアーズ「日本を知るためのドイツ入門」、ファビアーナ・トーレ「イタリアの真実」。
その他、イヴァ―ン・アフメーチェフ詩抄(岡田和也訳)があるので、二、三紹介しよう(原語が付されているが省略)。
***
闇〔くらがり〕で書いてゐたら
気が付かなかった
筆〔ペン〕の書けぬこと
***
子禽たちが目覚めた
すると人々も
天井を踏み鳴らしながら
***
否〔いや〕
革命は不要
互連網〔インターネット〕が
有るならば
陽炎へる男の胸の起伏かな 今井 聖
★閑話休題・・笠原一郎『ディズニーキャストざわざわ日記/“夢の国“にも✖✖✖✖ご指示のとおり掃除します』・・・
笠原一郎著『ディズニ―キャストざわざわ日記/“夢の国“にも✖✖✖✖ご指示のとおり掃除します』(発行:三五館シンシャ・発売:フォレスト出版)。著者の笠原一郎は、愚生の高校の同級生の弟君である。カバー表3の略歴には、
1953年山口県山口市生れ。一橋大学卒業後、キリンビール入社。マーケティング部、福井支店長などを経て、五七歳で早期退職。東京ディズニーランドに準社員として入社。六五歳で定年退職するまで約八年間にわたりリカストーディアルキャスト(清掃スタッフ)として勤務。満員電車に乗って通っていた日々を懐かしみながら、“夢の国“の「ありのまま」の姿を本書につづる。
とあり、カバー表2の惹句には、
われわれも人間だから、手を抜くこともあれば、ミッションを忘れるほどゲストに対して怒りを覚えることもある。仲間と会社の愚痴も言い合うし、給料が安いと不満を持ったりもする。本書は模範解答的なディズイニーランド像に対する現場からの実態報告でもある。
とあった。読みやすい本なので、興味を持たれた方は、直接本書を読んでいただいきたい(愚生は、図書館にリクエストしてから、一年と少し待った。その時点で、わずか一か月の間に6刷り、かなり売行良好の本である)。ここでで、目次の各章題を紹介し、一カ所のみを以下に紹介しておこう。まず章題は「第1章 キャストの慌ただしすぎる日常」「第2章 決して口外しないでください」「第3章 ヘンなゲスト、もっとヘンなキャスト」「第4章」“夢の国“のリアルな風景」。以下は第4章の「某月某日 去っていく人」で、他の会社に正社員として就職が決まった人に対した著者の言葉、
「浜田君にピッタリの仕事かもしれないよ。最初は仕事が多少つらく感じることもあるかもしれないけど、自分に合うかどうかはすぐにはわからないから、ある程度辛抱することも大切だよ」
サラリーマン時代の私は、仕事は基本的につらいもので、ときどき達成感を味わうことができればよいと考えていた。ある先輩から「おまえのもらう給料の中には“我慢代“も含まれている」と言われたことがあった。
仕事が楽しいというのは理想であるが、そんな仕事に巡りあえる人はそう多くはない。であれば、自分が取り組む仕事の中にどれだけ喜びを見つけ、達成感を得られるか、それが重要だと考えていた。達成感を得るためには仕事に真剣に取り組まねばならない。それはディズイニーランドでもそれ以外の仕事でも変わらない。コーヒーショップで彼にそんな話もした。
とあった。
撮影・中西ひろ美「異常なし幸せな春のことば」↑
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