鳴戸奈菜「きさらぎの骨のきれいな小鳥かな」(「らん」第100号・終刊記念)・・

 

「らん」第100号(らんの会)、「『らん』100号終刊記念特別作品」、「創刊号からの目次総覧(1998年~2023年)」、「らん回想」として創刊同人をふくめ11名を収載。その「らん回想」の記事中、久保隆「『らん』誌の周辺で思い出すこと」に、


(前略)清水径子さんとは特別に親しく交流させていただいた。忘年句会が径子さん宅で行われた時、わたしと大井恒行さんが呼ばれ、わたしは選句だけで参加したことを忘れられない思い出としてある。


 とあったが、愚生には記憶がない。小田急線日吉にあったご清水径子自宅の句会には何回か参加させていただいた記憶はあるが、久保隆(皆川勤)と同席した記憶がないのだ。久保隆のことをはっきりと覚えているのは、先般亡くなったワイズ出版・岡田博関連である。その後、図書新聞には、かなりの頻度で皆川勤、皆川燈が寄稿しており、逃さず読むようにしていた。そして、安井浩司の墨書展の会の折に、御両人と少しお話しをさせていただいた。

 思うに「らん」の創刊メンバーが、清水径子・鳴戸奈菜・皆川燈・藤原千恵・三枝桂子・中西ひろ美の6名であったことに、いささかの感懐が湧く。それにしても、本号の鳴戸奈菜の句が、自選ではなく、編集部選であることに思いをいたすとともに、100号が文字通りきちんと25年間であることに、敬意を禁じ得ない。愚生の属する「豈」は42年で65号であるから(いかに成り行きまかせであったか)、その内実を含む歩みの確かさを思わないわけにはいかない。終刊号も、まれに見る充実とこれまで関わった方々への敬意に満ちていた。そういえば、俳号となった三鷹にあった燈書房に一度お訪ねしたことがある。

 ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。


  睡眠時無呼吸症候群国家         五十嵐進

  春風や神が導く夢の中          海上直士

  結界石に躓きし秋の暮           M・M

  生きものがかたちをなして秋の暮     岡田一実

  冬の夜は病める人訪ふ逝きし人      久保 妙

  山笑ひだしさうなところに羊      嵯峨根鈴子

  柿の蔕一個にふたつ謎のまま      佐藤すずこ

  まぼろしのごとき一生(ひとよ)や風花す 柴田獨鬼

  ギンレイは本日閉館冬銀河         水 天

  既読なきライン閉じたり神無月      関根順子

  冬の瀧はだかの水を墜としけり       月 犬

  花の山老人ばかり影ばかり        鳴戸奈菜

  水平線を遠まなざしに石蕗の花      西谷裕子

  うたかたの恋に終らず冬の恋       三池 泉

  始まりへ春告鳥の鳴くはうへ       皆川 燈

  鷹渡る自由の刑に処せられて      もてきまり

  やや暗し元町の疑似ガス灯は       矢田 鏃

  晩年はとつぜんの百合みだれ咲く     結城 万



        芽夢野うのき「一本のやがてあまたの風の水仙」↑

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