なつはづき「空耳は泣く声ばかり著莪の花」(「現代俳句」11月号より)・・

 「現代俳句」11月号(現代俳句協会)、メインは第26回現代俳句協会年度作品賞のなつはづきと水口圭子。そのなつはづきの「受賞のことば/現在地」の中に、


(前略)賞は胸にぶら下げておく勲章ではなく、自分の可能性を広げてくれるチャンスだと思っております。今どんな句を作りたいのか、実際に作れているのか。賞に挑戦するという事は真正面に俳句と向き合い、現在地を都度確認する作業に他なりません。自分にもまだこんな句が作れるんだという可能性に気づき、驚きがあります。


  とあった。選考経過については宮崎斗士顕彰部長、選考評は岡田耕治、神田ひろみ「まだ見ぬもの」、倉田明彦「第26回年度作品賞推薦作」、木暮陶句郎「白熱の選考会」、田中朋子「選考を終えて」、松本勇二「多彩なり」。その他の記事に、山本敏倖「直線曲線/松井国央(まついくにひろ)という俳人」、柳生正名「高橋修宏『暗闇の眼玉 鈴木六林男を巡る』を巡って/雨の中の涙のように~小野十三郎賞受賞讃~」、西本明未「一句誕生の現場/秋蟬の鳴いては風になる途中」、浦川聡子「俳句と私/偶然か、必然か」など。ともあれ、本号より、以下にいくつかの句を挙げておこう。


  どこまでもふくら雀の敷地なり       前田 弘

  茫々にただ茫々の枯木立つ         衣川次郎

  鶴来るめじるしも何も無き国に       百瀬一兎

  行く秋の出べその木綿豆腐たち      布施伊夜子

  ただならぬ戦火番の白鳥来         舘岡誠二

  やまぼうし翼のように畳む傘       なつはづき

  消えるため人の世に来る雪螢        水口圭子

  いざよいや帝王切開はあした        赤尾双葉

  藻の花や四の地蔵に四の椀         あいだほ

  鈴虫やふたたび生まれては来ぬか     宮本佳世乃

  鼻骨まで残暑のとどく丸の内        永井 潮


★閑話休題・・ねんりんピック彩の国さいたま2026開催記念プレ・彩の国俳句大会/記念講演・対馬康子「昭和と現代俳句」(於:さいたま市民会館おおみや・大ホール)・・




対馬康子氏↑

 11月1日(土)13時30分~彩の国俳句大会記念講演は、対馬康子講演「昭和と現代俳句」を聴きに行った。昭和初期から只今現在まで、わかり易くまとめられ、高齢者も多く、ゆったりと話をされていた。


  撮影・中西ひろ美「通い路や風の小菊の揺れごころ」↑

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